「てるみくらぶ」の倒産はワイドショーでも大々的に取り上げられ、専門家も出てきていろいろと分析がなされていた。
まとめると、てるみくらぶの従来の手法は、航空会社から余った座席を安く仕入れ、格安ツアーを造り大量に販売するというものであった。これが、航空会社が小型の機材を導入し販売効率を上げるケースが増えたこと、またインバウンドの好調により座席が余らなくなり従来の手法が使えなくなってきた。このため、路線転換を図り、新聞に大量に広告を出し、シニア層を取り込みを図った。しかし、莫大な広告費用に見合う集客ができず、倒産に至った。また、ホテル予約サイトや格安航空会社の台頭により、顧客を奪われたのも一因と考えられる。各社、概ねこのような分析をしている。
私が、旅行会社でツアーを作っていたころは、てるみくらぶに料金でどうしても追いつけず悔しい思いをしたものだ。通常ツアーを造る場合、エアーの仕入れ値、ホテルや送迎といった現地費用、その他空港の係員や主催旅行保険の経費などを足し、そこに利益を乗せてツアー代金を算出する。ところが、てるみくらぶは、まず売れそうな値段でツアー価格を決めてお客を集める。そして、航空会社に対して、何月何日出発に100名のお客を持っていますが、〇〇円で座席を提供してくれませんかといった交渉する。これから集めるのではなく、既に集まっているお客様を持ってきてもらうと、航空会社も確実に席を埋められるの、安い料金を出す。てるみくらぶ側も何社かの航空会社に声をかけて一番安いところにから航空券を仕入れる。これにより、結果的に利益がでるわけだ。もちろん、うまくいかずに赤字になるツアーもあるだろうが、トータルではこれでうまく回っていた時期があったのだ。
ツアーの利用航空会社がぎりぎりまで決まらないのも、これで理解できるだろう。
確かに、インバウンドが好調で飛行機の座席がむしろ足りないぐらいである最近の状況では、なかなかこの手法はうまくまわらないだろう。新聞広告を出してシニアを集める手法も、この世界は阪急トラピックス、クラブツーリズムといった、昔からこの手法で成果を上げているライバルがあり、ここで勝つのはなかなか難しかったと思う。
このニュース、引き続き注視していきたい。