しゃっくりが止まらない。まるで、眠らせない拷問を受けているようだ。吃逆止めなんて、飲んでも全然効かない。これも副作用のひとつだ。
オニバイドと5FU、これは膵臓癌の化学療法のセカンドライン。ゲムシタビンとアブラキサンでは、腫瘍の侵攻を止められなかった。
セカンドラインの方が副作用がきついし、投与の負担が大きい。火曜日にオニバイドを吐き気止めと一緒に4時間かけて胸に埋め込んだポートから投与。その後、5FUを46時間かけて投与。針が刺さったまま、5FUが入った容器を首からかけて帰宅。風呂にも入れない。
吐き気止めは、強い便秘を引き起こす。しかし、便秘をすると投与した薬が腸から再吸収され、より強い副作用を引き起こす。
このため、下剤を飲んで必死で出そうと試みる。下剤は3種類ある。マグネシウムの錠剤、粉末で水に溶かして飲むやつ、液体で水に混ぜて飲むやつ。最初の2つは、ほとんど効かない。最後のやつは、出る前と出た後にひどく腹が痛む。痛み止めの併用が必要なほどだ。
しかし、今回は最後のも効かず、ほとんど出ない。
出るのはしゃっくりのみ。何をやっても止まらない。ということで、木曜日の早朝にこれを書いている。今回で、オニバイド+5FUは3回目だ。本日の午後、5FUの投与が終わり針を抜く。
これまでの経験からすると、このあと日曜日ぐらいまで便秘と吐き気との戦いだ。食欲は低下、臭いのあるものが食べられなくなる。月曜あたりから、一気に下痢に変わる。普通の下痢とは感覚が違う。お腹がむちゃくちゃ痛みトイレに駆け込む。でも、なかなか出ない。でもお腹は痛い。かなり時間をかけて、やっと出る。しかし、出た後も数時間痛みが続く。痛みが治まると、平常に戻る。これが、1日1回か2回。金曜ぐらいまで続く。便秘から下痢に切り替わるあたりの3日間は、体がだるく、ほとんど動くことができない。
2週目の土曜日ぐらいから、徐々にお腹の調子が戻り、月曜ぐらいにやっと元気になってくる。
通常は、この治療は投与して、2週間休んで、また投与を繰り返す。つまり、やっと調子が戻ったと思ったら、次の投与が来るのだ。延命治療なのに、ずっと副作用に苦しんでいるだけでは割に合わない。3週に1回にしてもらえば、3週目は元気でいられる。旅行にも行けるし、基本的にはなんでも好きなものを食べられる。
癌の侵攻を抑えるために、体に毒を入れる。当然、毒だから体に問題が起こる。これは、吐き気止め、痛み止め、吃逆止め、下剤、下痢止めを使って抑える。毒を体に入れて、薬漬けになる、すごい治療だ。それでも、これは延命治療で癌治ることは基本的にはない。なんか、うまく行ってずるずる生きられたらラッキーという感じだ。
癌は治る病気になったとか言うけど、癌の種類による。膵臓癌になったら、基本的には終わりという事だな。