延命治療というのは絶望的な響きだ。延命治療と聞くと、ぼろぼろの状態でベッドに横たわり、ただただ死を待つという状況を想像してしまう。しかし、私は意外と元気だ。先日も重いカメラをもって、あちこちに桜を撮りに行ってきた。さらにもっと重い望遠レンズを持って野鳥を撮りに行ったりもする。ステーキ食べに行ったり、甘いお菓子も結構食べている。ちなみに、私は酒を飲めない甘党だ。
以前体重は105㎏ぐらいあったが、膵臓癌のおかげで、今は78㎏ぐらい。昔より歩けるぐらいだ。
私が、今抱えている癌は、手術後に再発したものだ。手術がうまく行ったおかげで症状は一旦解消されているのだ。だから元気だ。しかし、腹部のリンパ節に癌が再発しているので、いずれこれが大きくなったり、どこかの臓器に転移すれば、何らかの症状が出てくるだろう。
どうなるのか、わからんけど、こうなったらずるずる延命して、なんとなくしぶとく生きていくしかないのだ。
でも、これは難しい。油断すると死ぬことばかり考えてしまう。でも、体は今のところ元気で、抗がん剤治療を続けても、3週間のうち1週間は元気だ。それ以外の2週も、体はだるいし、腹も痛いし、薬漬けだが、ちょっとは動ける。
ならば、なんとか気持ちをしっかり持って、何かのために生きるべきだろう。
基本的に、この考えで行く方針だが、まあー簡単ではない。これは、癌と闘いながら力強く生きぬいた偉人の感動のテレビドラマでもなんでもなく、厳しい現実だ。しかも、私は凡庸以下の人間、これがリアルだ。
死にたくないなあー、でもそのうち死んじゃうのかな、なんてうじうじ思いながら、それでも細かい現実逃避を繰り返しながら、なんとか精神状態を安定させて生きている。でも、実はこれが普通なんだろうなと思う。人間なんだから、こんなもんだろうと肯定することにしている。
病人をネタにした感動ドラマや、感動報道がなんか空虚に感じられる。
でも、人間いつ死ぬかわからないというのは、癌であろうがなかろうが同じとも言えるかもしれない。事故にあうかもしれないし、コロナで急死するかもしれない。そう考えると、まあいいかと思えたりもする。